エイジフレンドリーガイドライン
少子高齢化や若い世代の労働人口の減少などによって、年をとってからも働き続ける人が増えています。
年を取ってからも働きたいと思う人が増えるのは素晴らしいことです。その一方で、職場が高齢者にとって安全な場所になっていないという問題も起きています。
この記事では、高齢労働者のためのエイジフレンドリーガイドラインについてご紹介します。
エイジフレンドリーガイドラインとは
エイジフレンドリーガイドラインは、厚生労働省が令和2年3月に「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」として策定しました。
現代では働く高齢者が増えており、60歳以上の雇用者数は過去10年間で1.5倍に増加しました。
特に小売店や医療・福祉・教育などのサービス業、外食産業・情報通信産業をはじめとした第三次産業で増加しています。
その一方で労働災害による死傷者数で60歳以上の労働者が占める割合は、平成30年の調査では26%となっており、現在も増加傾向にあります。
高齢労働者では特に転倒や転落災害の発生率がとても高く、男性よりも女性の労働災害が多くなっています。
こうした高齢者の労働災害を防ぐために、働く高齢者の特性に配慮した職場を目指す目的でエイジフレンドリーガイドラインが作られました。
事業者に求められる取り組み
職場で高齢者を雇用している事業者に求められる取り組みを見ていきましょう。
・安全衛生管理体制の確立
高齢労働者が、安全衛生についてのリスクや働く上で負担に感じていること、自身の不調などを相談できるよう、社内に相談窓口を設置してみましょう。また、高齢労働者が孤立することなくチームに溶け込んで何でも話せる風通しの良い職場風土づくりも効果的です。
また、高齢労働者は、若い世代と比べて身体機能の低下などが起きています。高齢者特有の労働災害発生リスクについて、災害事例やヒヤリハット事例から洗い出し、労働環境に応じた対策をとることも必要です。
・職場環境の改善
高齢者でも安全に働き続けることができるよう、身体機能の低下を補うための設備・装置などを導入してみましょう。
例えば、職場の照明を明るくして見えにくさを解消する、危険を知らせる警報音は聞き取りやすい中低音域の音を採用する、階段には手すりをつける、できる限り通路の段差を解消するなどです。
・健康や体力の状況の把握
高齢者を雇用する際は、定期的な健康診断の実施が大切です。時短勤務などで、事業所の健康診断対象にならない高齢者の場合は、地域の健康診断など受診を希望する場合、勤務時間の変更や休暇の取得について柔軟に対応しましょう。
また、高齢者の労働災害を防止するためにも、事業者は高齢労働者の体力にあった作業につかせるとともに、高齢労働者が身体機能の維持や向上に取り組めるよう、体力チェックを継続的に行うのがいいでしょう。
まとめ
若い世代と比べて、高齢者が働きやすい職場は、誰にとっても働きやすい職場になるでしょう。
高齢者のために職場環境を整えた結果、高齢者以外の労働災害件数も減らすことができたというケースもあります。
働きたいと思う人が、ケガや事故に遭わずに安全に楽しく働くためにぜひエイジフレンドリーガイドラインを活用してみてください。
エイジフレンドリーガイドライン(厚生労働省)
を加工して作成
提供:株式会社さんぽテラス